fc2ブログ

     潮流戯画手帖    (THE NEW HISTORY EYES )

歴史の潮流を捉え諫言と提言をWeblogとYouTubeで発信していきます。

「純粋不倫愛」

 絵里子は同期入社以来男性社員とは割と仲が良い。ミスコンで数多くの賞をとっていて、美人が多い会社でメディアで有名になったこともあり、就職企業人気ランキングではトップになっている。どの部署でも営業部隊は美人社員を連れて行き難なく商談を決めてくるのが日常となっている。僕と絵里子は入社以来コンビを組まされ、営業成績はダントツの部類に入る。といっても成績の悪いトップということだから、絵里子の容姿が社内では特異と言う想像は容易に出来ていた。当の僕も絵里子の容姿には不満があった。生まれつきのものだから仕方がないのだが、しかし余りにも極端すぎるのだ。顔の善し悪しで判断するのは間違っていると建前ではいくらでも言えるものだが、だれでも本音からは逃れられない。出っ歯・ソバカス・一重瞼・猫背・品のない話し方と仕草とくれば、誰でも営業の同伴は断られるに決まっている。そういうことなので、得意先からは同情を買われて時折小さな商談を契約してもらう。そう言う日々に僕は相当なストレスを感じるようになっていた。
 休日のある日、横断歩道で気絶している、絶世の美女を目にしていた。美女と言うよりは、この世のものではないオーラのある女だった。急いで救急車をよび、病院まで付きそう羽目になった。後でわかった事なのだが、この女こそ絵里子の素顔だったのだ。この日は、会社の後輩の女子社員ナオミさんと映画を見にいくはずだったが、ご破算になってしまった。ナオミさんは国内のミスコンで優勝し、社でもトップクラスの美女である。絵里子はこのところ休みが多くなった。別に付き合っているわけでもなく、全く気にしてはいなかったが、後日、風邪をこじらせて彼女は三日三晩熱でうなされていた。心配になった僕は、彼女の部屋に行き、看病していた。どうしてだかわからないが絵里子の姉も来ていた。その姉は腰を抜かすほど綺麗な美女で、絵里子と姉妹関係とは僕は信じることが出来なかった。あまりにも醜い容姿にはなれてはいたが、僕は聴いてはいけないものを聴いてしまったのだ。姉はひそひそと絵里子に語りかけていた。
 「もうそろそろ厚化粧と変装はよしなさい。あたしより貴女のほうが綺麗なのは百も承知なんだけれど、厚化粧はもうやめよ。化粧しなくなったら、あなたの会社の人達はなんというかしらねぇ。富豪の姉妹の一人が、面白がって、醜い顔をこしらえ、男たちの器量を図るとはね。あなたと一緒に営業している仁科さんには、あたしから良く言っておくわ。あなたのいいなずけがしつこく関係を迫るから男が遠ざかるよう自分を醜くしたのは正解だったかもしれない。でも、本当の恋をしようと思ったら仁科さんに告白したほうが良くてよ・・・」明くる朝、絵里子は厚化粧を抜いた風貌で出社した。通りすがりの人々が振り返るほどの美貌で社内ではもちろんナンバーワンとなった。
 
スポンサーサイト